「60とか余裕だわ」


そう言って、



「ね、降ろしていい?」



私の首に腕を巻き付けているりっくんに、話しかけた。



「ダメ、席まで」



「はー」


なんなんだ、本当に



なんて、思いながらも、私はりっくんの席に向かってしまうんだ。



もっちの隣のりっくんの席。



そこに行って、りっくんが持っていた自分のカバンを床に落とす。



「はい、降ろすよ」



ゆっくりしゃがんで、体が軽くなったと同時に首も解放される。



「ありがと!」



「いーえー、どういたしまして」



なんでこんなに、甘やかしてるんだろう



けど、楽しいから、上機嫌で、杏ちゃんのところか、もしくは教室に帰ろうとした。