「ナツメ、帰んの?」


私がブラウスのボタンを掛けているとケイタが私の背中に話しかけてくる。


「うん」


振り返り返事をする。

だからと言って「まだ帰らないで」だとか「寂しい」なんて言葉はくれない。

別に欲しいと思っているわけでもないけど。

綺麗な二重の目がすこしかったるそうに私を見つめている。

この目、ちゃんと開いたら私より大きいんじゃないかな、なんて考えているとケイタは目をそらした。


「送ってく」


そういって近くにあったTシャツを着てから制服のズボンを履き直す。

タンスから新しいの出せばいいのに。

ケイタが家の鍵を持ったのを確認して私も家を出た。