「ナツメ、今日親いない」


放課後、夕陽の差し込む教室で
ぶっきら棒に話しかけてくるのは啓太、私の彼氏。

ポケットに手を突っ込ませ、いつの間にか私の横に立っていた。


「そう」


読みかけの本を置き私も同じくらいのテンションで返事をする。

やけに静かな廊下を2人で歩く。

2人の間には1人分の距離がある。

これがいまの私たち。


ケイタの家に来たのは何回目だろう。

他人の家とはもう思わない足取りでケイタの部屋に行く。


「ん」


片手で差し出されたフルーツオレを飲む。

ケイタはブラックコーヒー。

隣に座ったケイタがそのまま唇を重ねてくる。


フルーツオレ

ブラックコーヒー。


よくわからない味に気持ちは沈んでいく。