走った。

あの日と同じぐらい。
人生で2度目だ。
苦しいなんて感じることもできないぐらい。
走った。

陸斗…陸斗…
死なないで、お願いもう1人にしないで。


グランドの桜の木下に落ちた陸斗は、傷一つなかった。
目を疑った。

「陸斗・・・」

彼の手首に指を当てた。
よかった。
ちゃんと生きてる。
陸斗は意識を失っているだけみたいだった。

ふいにあの手紙を思い出した。
クローン、彼は人工的に作り出された人間だ。
何か関係あるのだとしたらあの手紙に書かれた
電話番号に電話してみれば…

プルルルガチャ

「もっしぃーーーー?
こちら株式会社REINCARNATION代表の秋人くんでーす」

ふざけてる

「あの…」

「あーもしかしてー陸斗くんの知り合いですか?」

「なんでわかるんですか」

「反響入電が増えてるからねー
陸斗くんの知り合いの番号は全部登録してありますからねん。
ちょっと待ってねー番号検索してー
あ、ゆずきんちゃんですねっ!」

「なんなんですか、その喋り方。
そんなことより彼に…」

「言っちゃったんだね?
死んだ日のこと思い出しちゃったりしてー
それを彼に言っちゃったってところでしょー?
今日は彼の誕生日で彼の命日ですもんね。」

「なんなんですかあなた」

「そんな怖い声ださないでくださいよ。
大丈夫。彼は死なないから。」