そして5年が過ぎて、1通の手紙が届いた。

[こんにちは佐倉柚姫さん。夏目陸斗さんを蘇生しました。
この手紙は夏目陸斗さんの関係者全ての人に送られています。
私は株式会社REINCARNATION 代表の日向秋人です。
私達は陸斗さんの脳をデータ化。
そして陸斗さんの細胞からクローンを作製。
私達は何に重きを置くか、そして何を本人とするか、
結論は脳でした。
心ではなく脳です。
その結果、実験は夏目陸斗さんを蘇生することにより事実化されました。
そしてまさに夏目陸斗さんが歩むはずだった未来をあなた達は間近に見れる。
もちろん本物の夏目陸斗さんの未来
脳が全くの同じものであればそれは彼自身。
ただ蘇生のためにかかった数年の記憶は
彼の人格や23年間の記憶を元に
彼の歩むはずだったであろう
数年間を我々で作り上げましたので
決して彼の記憶を否定しないようにお願いします。

あなたの大切な人を生き返らせたい。
そんな方がいらっしゃいましたらぜひ当社まで。
0120-37-4343

P.S
絶対に彼には一度死んだことを伝えないで下さい。
脳の経路が混線してしまうのであしからず。]

ひどい悪戯だと思った。
でもしばらくして、彼は私の前に現れた。
あの日から5年。

「柚姫!」

彼が私を呼んでいる。

「なぁ柚姫!」

陸斗の声。

「おい、柚姫!」

振り返っても私の肩に手を置く彼は陸斗そのものだ。

「ごめん。今日陸斗の命日だったからつい…」

やばい
言ってしまった。

「命…にち…」

「陸斗違うの!」
「めい・・・に。ああ・・・あ・・・ああああああああ!」

「陸斗ごめん!陸斗!お願い行かないで、陸斗お願い」

「うああああああああああああああ」

「陸斗!!!!!!!」

彼は頭を抑えながら走り出して





飛び降りた。