2117年5月2日 私は友達の陸斗に連れられて彼の母校に来た。
日曜日の昼下がりに
私達はまるで学生に戻ったかのようにはしゃいでいた。
私の知らない学生時代の陸斗を見ているようで
無邪気に笑う彼を可愛いと思った。
彼は何度か私を好きだと言った。
それでも私は断り続けている。
彼の事は嫌いじゃない。
触れたくなるしそばに居たい。
でもただ、そばに居たいだけ。
彼は陸斗じゃないから…好きというのは嘘になる。

だって陸斗は、23歳の5月2日に
彼の誕生日に死んだんだから。

陸斗はずっと私といると言っていた。
口癖みたいに。
そしてその言葉通りにずっと寄り添ってくれていた。
私よりずっと子供な陸斗。
急に男らしくなる陸斗。
とろけそうな目で私を見る陸斗。
怒ってないって言いながら不機嫌そうな陸斗。
思うようにいかなくて泣き崩れる陸斗。
私の名前を呼ぶ陸斗。
キスが好きで甘えん坊だった陸斗が…私は大好きだった。
愛おしかった。

そんな彼はずっと私に嘘をついていた。
ずっと私といると言っていたのは誓いではなく
ずっと私と居たいっていう願いだった。
必ず柚姫より1日長生きして死ぬんだって言っていたのは
彼の大嘘だった。
だって知ってたんだよね陸斗は…
自分の命の終わりの時間。
陸斗からの手紙には、離れ離れになるけど
その間はちゃんと1人で頑張るんだよ。
ずっとそばにいる。そう書いてあった。