「夏目くんは動物飼ってないの?」

「あぁ飼ってたんだけど死んじゃってね。
黒い犬だったんだ。
あのわんちゃん物語って知ってる?その主役の犬が居るんだけど
その犬と同じ犬種なんだ。
アメリカンコッカースパニエルってやつ。
雄だった。マックスっていって、スッゲー優しくてドジで食いしん坊だったんだ。」

「食いしん坊だったんだ!」

「そうだよ!キャベツ切ってると端っこから消えてくんだよ!
テーブルのしたみたらマックスだった。」

俺の話を聞いて楽しそうに笑ってくれてる。
いい感じ。
微かに触れる手が、もどかしくて握ってしまいたい。
そうしてるうちに緑の電飾が賑やかなケバブ屋についた。

「オーリクトー!ゲンキ?カノジョ?カワイイネ!」

「違います。」

そう言って笑う佐倉さん。
即答ですか・・・笑

「チガウ?ホント?カワイイカワイイ!」

「あぁもうわかったから、ケバブ2つちょうだい。」

「リクトモダイスキ!!」

「はいはい。」

こうして僕らは、バイト帰りによくご飯を食べるようになった。
少しづつ、少しづつ縮まっていく距離を感じながらオータムフェスタが終わってもなお、
続くこの関係に、この上なく幸せを感じていた。