思い出した。
俺が柚姫を母校に連れて行くって言って
通っていた高校に連れてきたんだった。
そして記憶が一気に頭に流れてきて
パニックになってそれで…

「誕生日に飛び降りってどんなサプライズよ。」

「心配して…泣いてたのか?」

「泣いてないです。ばか」

「心配…してくれたんだな。一応は」

「何それ。心配するに決まってるでしょ!
どれだけ怖かったと…」

堪えきれずに泣いた柚姫の涙に反省した。

「悪かったよ。自分でもなんで落ちたのか
わからないんだ。」

「…うん。」

少しの間続いた沈黙に耐えかねたのか
先に柚姫が声を出した。

「ね!パンケーキ!食べに行こうよ!」

「江別の?」

「そう!橋渡ったところの!
あそこの本当美味しいよね!
クレープも食べよー」

あれ?そういえば…なんで俺…無傷なんだ?
飛び降りたの3階だぞ…
あの時のフラッシュバックだってなんで急に…
くそ、もう思い出せない・・・

「いつまでぼあーってしてるの?行くの?行かないの?」

「あぁ、行こうか。」

俺たちはパンケーキ屋へ向かうために校舎から出た。
視界いっぱいに広がる桜。
北海道の桜は日本の一番最後に咲く。
そしてあっという間に散っていく。
人も同じだ。

「なぁ柚姫。俺は…死んだことがある気がするんだ。」

「え?なんか言った?」

俺は何を言っているんだろう。