駅ビルに移動すると、様々な商品が溢れかえるところは健在のようで、いろいろな店が華やかに入口を飾ってきらきらと光を反射している。

「すごい…」

「えー?これくらい普通じゃん」

ぴょこぴょことはねる彼女を学生達は気にせず歩いている。

「…なあ、あいつら何だ?」

店の前でそこから動かない、動きがゆっくりなしゃべるマネキンのようなモノがあった。

「あれ?接客用ロボット。店員さんはみーんな奥の部屋で監視カメラじーーーーーーーっと眺めてるよ。」

双眼鏡のような手の配置をする彼女は、じーっという声をまだ出し続けている。

「ふうん…それにしても、ここ、物価高いね」

「そうかなあ?普通じゃない?」

100円均一のを覗いても、ちっちゃなピンが大量に入ってるだけで115円。
がめつい主婦ならこれよりも安いものを求めて練り歩くというのに。

「今の消費税は15%でね、昔は5%とかあったみたいだけど、本当に羨ましいよ。お小遣いだけじゃどーにも…」

「…お小遣いあるの?」

「一応、学費は免除されてるし寮生活だから親からの仕送りは全部お小遣いに回せるの」

まー基本使わないけどねとほかの店の入口を覗き、可愛らしいぬいぐるみを見つけてわぁっと声を上げるところを見ると、中身は至って普通の女子高生だということがわかる。

「…あれは?」

「あああれ?ここら辺で唯一人が経営して接客してるお店。皆人が手渡したものなんか欲しくないって言って寄らないけど、私結構好きなんだよね。」

とシックな店の入口に積まれたTシャツを広げて かわいいでしょ? というとこも、やはり女子高生だと確信する。
こっちもいいなと品定めする彼女に、少しやつれ気味の女性が話しかけた

「なにかお探しでしょうか?」

「うん、かっこよくてかわいいお洋服探してるの」

「でしたら…こちらはいかがですか?」

取り出したのは、ネイビーのレースが目立つシャツ。彼女は服のサイズを確認すると、うんとうなづいて購入した

「ほら、ほかの店とは違うでしょ?」

「あ、ああ…そうだな」

俺達の時代ではこれが普通なのにと思っても、ここではもう普通ではないということが信じられなくて、軽くため息をついた。

駅ビルを地下へ進んで、食品売り場に進むと目に入る光が痛い。
照明がガンガンに照らされた食品は、油濃そうにてらてらと輝いていた。

「…どれも体に悪そうだ」

「これを普通に食べてるんだからそんなこと言わないでよー」

お夕飯何にしようかなあ?と食材売り場をうろうろし始めた彼女についていくと、異様に目が向けられることに気づいた。そりゃそうだよな、見たことねえ年齢のやつが歩いているんだからな。しょうがない

「お兄さんどかした?」

「あ、いや…なんでもない」

目線に負けず歩いていくと、剥き出しで売り出された野菜がたくさん売っている。が、皆はもう既に商品化された惣菜を購入している

「鶫は作るのか?」

「んー、油っこくて嫌い」

お前も油っこいって言ってるじゃないかと呆れると、かごを押し付けられてポイポイと食材を入れられていった。