ぎゅううっと唇を噛みしめて、彼は耐える。

浮かんだ涙は溢れることなく消えていく。



「どうすれば、お星さまは見えますか?
この世界は明るくなりますか?」


賢い王様。

わかっているでしょう?


優しい王様。

したくないのですね。


小さな王様。

まだ甘ったれだから。




「私を、星にすれば良いのです」

「・・・・・・」

「私はこの世界で唯一の魔女。この世界で最も強い生命体。
きっと光輝く星になることでしょう」

「いやだ」


コバルトブルーの瞳が、うるみ始める。

拳が強く強く握られて、頰が赤く染まる。




「いやだ、いやだ、いやだ」

「どうしたんですか。子供のように駄々をこねて」

「いやだ、いやだ、いやだ」


ぶんぶん、ぶんぶん、首が横に動いて、金髪が揺れる。




『子供のように駄々をこねて』

自分で言った言葉に唇が歪む。


当たり前じゃないか。

彼はまだ子供だ。



でも。





「王様、お別れです」




彼は王様だ。

子供だけれど、子供ではいられない。