「先生がいなかったら、死んでたかもよ」

保健の先生は水枕を片付けながら冗談ぽく言う。


そうだったんだ。


「軽い熱中症ね。どう?動ける?」

言われて、両足を床に付ける。

軽いめまいを覚える。



「おうちには連絡してあるけど、迎えに来てもらう?」

「いいえ、一人で帰れます」

「そう?平気?」




「僕が送っていきます。車ですから」

保健の先生は『うふふ』と笑う。

「そうねぇ、ここに学院長先生がいらしたら、男の人の車に・・・なんて怒るでしょうけど、今日は非常事態だし木下先生に送ってもらいなさい」



コクリとうなずくと私は保健の先生にお礼を言って、
涼介先生と保健室を出た。