「昨夜のことで責任とるつもりで言ってるの?」
俺はそんな責任問題でプロポーズしているのではない。茜とこんな時間を一生一緒に過ごしたいと思ったからだ。だから、茜を手放したくないと思ったんだ。
俺はもう迷わないし間違いも犯さない。二度と茜を手放すような事をしないと誓う。だから、信じて欲しいんだ。
「違う。俺はもう間違わない。茜の朝飯を一生一緒に食いたい。茜が可愛いし俺には茜しか考えられないんだ。もう、4年前の別れの様なことはしたくない。あんな思いを二度としたくない。俺には茜が必要なんだ。茜を愛しているから。茜しか愛せない。」
茜は俺が必死に喋るのを黙って聞いていた。そして俺のセリフを聞いて暫く考えていた。
「茜、俺はあの時離婚に応じたくなかった。茜を手放したくなかった。茜がとても大事な存在で俺にとっては茜しかいなくなっていたんだ。俺、茜に幸せにして貰いたいんだ。そして、俺は茜を幸せにしたい。」
茜は俯いたまま黙ってしまった。俺の言葉が信じられないのか、或いは、今頃こんな発言して怒っているのか。茜の気持ちを俺は知りたい。
「茜、俺の妻になってくれ! 今度は絶対に幸せになろう。二人で幸せな家庭を築こう。子どもだってたくさん作って会長を驚かせてやろう。」
やっぱり茜は俯いたまま俺の言葉に反応を示さなかった。俺は茜に振られたのだろうか。あんなに昨夜は愛しあったのに。あれほどに求めあったのに。あれは全部偽りだったのか?
「茜・・・・・俺、茜が欲しい。茜がいなきゃダメだ。」
全く反応しない茜に縋りつく様に俺は茜に抱きついては必死に頼んでいた。
「茜!結婚してくれ!」
すると茜の体が少し震えている様に感じた。俺はそんなに茜に嫌われていたのか?と気が狂いそうになる程に頭が混乱してきた。
すると、茜が顔を上げて俺の顔を見たがその表情はにこやかで目にはいっぱい涙を溜めていた。