「今の説明して貰いましょうか?! 課長?!」
「いや、あれは舞阪が勝手に言ってるだけで・・・・その」
「あら、遠慮しなくてもいいじゃないですか。同じ布団で寝た仲なんだし。」
茜?!
確かに同じ布団に寝たことはあるが、それは語弊があるというもので新藤を明らかに誤解させる物言いでしかない。
いったい茜は何を考えているんだ?!
「か・・・・課長?!! もしかして俺達を出し抜いて茜ちゃんとそんな関係に?!!」
「あら、新藤さん。優也さんってとっても優しいのよ。それに、料理も上手なんだから。」
「ちょ・・・・待て! いや、違う・・・いや・・・それはだな。」
「課長、見損ないました。あんたがそんな男だったとは!」
新藤はかなり怒った顔をして部屋を飛び出すように帰って行った。俺は何の言い訳も言い逃れも出来ずに、新藤を誤解させたまま帰らせてしまった。
誤解を早めに解かなければ明日出社した時、俺達の関係が噂されているのは間違いない。そんなことをされては茜にキズが付いてしまう。俺はまた茜にとんでもない仕打ちをしてしまうことになる。
「茜、なんであんな嘘を言ったんだ?!!」
「嘘じゃないわ。同じ布団に寝たのだって本当だし、優也さんが料理上手なのも本当でしょ?」
「だからって・・・あれじゃ新藤は誤解したぞ!」
「知られるのも時間の問題でしょ? だって私達元夫婦なのよ。違うの?」
茜の悲しげな表情に俺は背を向けてしまった。茜を抱きしめたいが今の俺は茜とは赤の他人だ。恋人同士でもなんでもないのだから俺には何も出来ないし、してはいけないんだ。
「私達2年間も夫婦していて、少しは寂しかったとか悲しかったとかなかったの?!! 会えない時間が長くて死にそうだって思ったことなかったの?!!」
茜はいきなり捲し立てて言うと涙を流していた。それがどういう意味の涙なのか俺にはさっぱり見当もつかず茜をまた泣かせてしまった。