「まーたり先輩がメイド服とか実は興味あること、知ってるんです」


「………え?」



なんで知ってるんだろう。


誰にも言ってないのに。



「なんで知ってんの、って思ってるでしょ?」



興味なんてあるわけないじゃん、と言えば良かったのに動揺した私は素直に頷いてしまった。



「だって先輩ったら、メイド服のクラスメイトすごい羨ましそうに見てたんですもん」


「え、うちのクラス来たの?」


「行きましたよー」



来てたのなんて、知らなかった。


驚いている私に「でも」と長谷部くんが言った。



「でも、無理やり連れてきた三浦と綾瀬を置いて中に入るのやめました」



男子サッカー部のスタメン入りしている11人中の2人、三浦と綾瀬が来ていたのは見た。


2人に「紅茶だけじゃなくてケーキも頼まないと、スタメンから外れる呪いをかけてやる」と面白半分で脅したのを思い出した。


三浦と綾瀬がいたことは確かに思い出した。



………で?



「なんで入るのやめたの?」



気になるのは、ここである。


別に来るなとは言ってないから、我がクラスの喫茶店に入るのをやめる必要はどこにもないではないか。