「羽黒高校です!お願いします!!」
『お願いします!!! 』
運転手さんに挨拶をして、私たち羽黒高校女子ソフトテニス部はバスに乗り込む。
「実羽ちゃん、頑張ろうね!」
「うん!」
「東北大会くらいちゃちゃっと勝っちゃいなよ!」
「先輩!了解ですっ!」
ー時は過ぎ、羽柴実羽は15歳にまで成長した。
中学で残した好成績が幸いし、ソフトテニスの名門校である羽黒高校体育科に推薦入学した。
ソフトテニスだけではなく学力も重んじる羽柴家。
親と毎日大ケンカして、ようやく決めた選択であり、それは実羽の決意の現れだった。
そして迎えた東北大会。
1年生ながら団体メンバーに選抜された羽柴実羽は、個人と団体の両方で全国に抜けようとしていた。
そこに強敵が現れるだなんて、バスの中で爆睡している実羽には知る由もなかった。