その深い闇のような瞳に吸い込まれそうになり、身構えてしまう。
私自身で寿命を選べるとしたならば。その次は?
「クローン病を抱えたまま、日本人女性の平均寿命近くまで生きるか。それとも、健康体で短い人生を生きるか。どちらを望む?」
何その質問……。
ごくりと唾を飲み込み、死神くんの無表情を見つめ返す。
「平均寿命はわかるけど、短い人生って、具体的にどれくらい?」
尋ねると、死神くんは無表情のまま、ぼそりと答える。
「二か月」
「二か月?」
みじかっ。たしかに短いけど、短すぎるよ。
健康になって好きなことをして、二か月後にぽっくり死ぬってこと?
ああ、でもそれもいいかもしれない。
このまま生きていても進学も就職も、何もかもに苦労することは目に見えている。
今と同じ、どんよりした毎日を死ぬまで送るよりも。
一日でもいい。キラキラ輝く世界が見たい。