死神くんはマントの中から、プラスチックのボードとボールペンを取りだす。
そんなもの、どこに入れていたのか。
「お前は一年前からクローン病という厄介な病を抱えている。けれど、それではすぐに死に至ることはない。しかし、半永久的に、死ぬまで治療は続けなくてはならない」
「そうみたいね」
わざわざ他人に言われると、ますますへこむわ。
「ねえ、私って何歳まで生きられるの?」
死神なら知っているんじゃない? そのボードに、私の未来の予定が書きこまれているのかも。
それを覗き込もうとしたけど、死神くんはひらりとマントを翻し、一瞬で私から距離をとった。
「それは一般の人間には教えられない」
なんだ一般の人間って。セレブなら教えてもらえるのか?
「しかし、今すぐではない。そこで、お前に質問をする」
「なに?」
「もし、お前自身で寿命を選べるとしたならば」
死神くんがじっと私の目を覗き込む。