浅黒い肌。切れ長の目に漆黒の髪。

整った顔立ちの男の人だ。

寝ていたからメガネをしていないはずなのに、彼の顔は不思議とハッキリと見える。

その声は低く、聞き取りにくい。


「どうして……」


声に出していなかったはずなのに、私の考えていることがわかったの?


「それは、私が死神だから」


ほらまた!


「死神って……」


たしかに、漫画とかで見る死神みたいな黒フードだけど、ベタすぎやしない?

思い切り疑ってかかると、死神くんは眉をひそめた。


「ベタで悪かったな。これは死神の制服なんだ。かれこれ何百年も同じ。仕方ないだろう」


はあ、それって制服なんだ……。


「ええと……名前は?」


色々と聞きたいので、名前がわからないと都合が悪い。

だから尋ねたのに、死神くんは端的に吐き捨てる。


「死神に名前はない」


何その設定。めんどくさー……。


「広瀬瑞穂。お前に質問するため、俺はやってきた」

「質問?」