「...帰ります」
笑ってて力が抜けてるのか、簡単に抜け出せた。
「あ、わり、ちょっと待て」
金髪さんは笑いをなんとか飲み込むと、
すっと立ち上がって私と向き合う。
「わり、えっと自己紹介な」
は、いきなり?
「俺は 高嶺 和泉─タカネイヅミ─だ。好きに呼べ。宜しくな」
え、なんか始まってるんですけど。
高嶺くんが自己紹介をすると
面倒くさそうに、私の前に別の男の子が歩み出た。
「なーんだ結局自己紹介すんのー。
...ふーん、ま、割といいんじゃん?」
高嶺とはまた別種類のイケメン...
イケメン...というか、
美少年の方がしっくりくる。
ぱっちりした目と長いまつ毛、小さな口、真っ白な肌。
女子も羨むような容姿で、
明るい茶色のおそらく地毛の髪の毛は、
見るからにさらふわっとしていて、
思わず撫でたくなる。
そのすっごく可愛い、
色素の薄い男の子が私の目の前に。
そして私を頭の天辺からつま先まで1通り見た。
…その視線に緊張して直立する私に
…少し馬鹿にしたように、ふっと笑った。