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「──────っわぁ...」




思わず息を飲んだ俺たちに


ごく自然に流れた沈黙を破ったのは


凑の小さな歓声だった。


そこでハッと我に返る。




俺達の視線は、樹齢がとんでもなさそうな


ど真ん中にただ一つかまえている桜の木に釘付けだった。






あまりに儚い桜のはずなのに、


まるで強がっているかのように大きく手を広げた





...桜の大樹。






「これは扉くぐったかいあったな...」



手についた土を払いながら苦笑いする玲生。



「...決定、だな」



俺のその言葉に誰一人異論を唱えなかった。