「確かに、店長は守るべき存在があるわな。
ただ、それは藤原さんにとっては関係ないことや。好きになったんならさ、少しでも自分のこと覚えておいてほしない?」



あたしは、この頃知っていた。
現在貴方は単身赴任中で、春になれば家族のいる地元に帰る=転勤になることを。
まだ明確な日付は知らされてないけど、この春ということは確かだ。


あたしは、貴方が最後の日に、
気持ちだけ伝えてサヨナラしようと思ってた。


気持ち知られたら気まずいし、
もう二度と今みたいに仲良くできないかもしれないから。じゃあ最後の日なら、もう会うことはないしどう思われてもいい。


そう考えていた。


その旨を伝えると、ウッディは口元だけ笑みを浮かべ、



「飯でもいったええやん。」


とだけいった。




「ご飯」


「飯行くだけなら、別にどうってことないやろ。誘ってみぃや。もう時間ないで。はよせな、店長、帰ってまうで」




もう二月。
早ければ来月、遅くても五月には転勤だと聞かされた。