それでも、信二はあたしを求めてきた。
好きだなんて言葉には出さなかったけど、
何回もキスされて、
激しく求めてきた。
行為が終わると、いつも服も着ずにベッドの中でお喋りするけど、あたしはもう明日も仕事だし早く帰りたいと思った。
さっさと服を着て、
まだ裸で寝そべってる信二の背中を軽く叩いた。
「帰るよ」
あたしのほうから、
帰る
なんて今までいったことなかった。
いつも信二のほうから、
明日も早いしもう帰るで。
といってきて、
あたしが「あと10分だけー」って
駄々こねるのがいつものパターンだった。
信二が起き上がって来たと思うと、
ギュッ。
背後から、強く、強く抱きしめられた。
「!!」
今思えば、
もうこの時に気づいてたのかもしれない。
あたしの気持ちの変化に。
【どこにもいくなよ】
そう言われているかのような感じがした。
胸が、傷んだ。
どうしたら、いいの?