一通り家事を終え、娘を寝かしつけた後、リビングで携帯をいじっていた。やっと訪れる俺の自由時間…ま、すぐ寝るけど。明日も早いし。


「なあなあ、あんた」

「なに?」

ソファでくつろいでいる嫁が携帯を持ちながら、俺の近くに来た。



「Facebookの、藤原花梨菜って誰?」




心臓が止まるかと思った。





「は?」

「なんかあんたの誕生日メッセージ投稿してるやん」


嫁は携帯画面を見せながら、問いかけてきた。
半分疑い、半分好奇心…といったところか。
誕生日メッセージ、俺の三十三歳の誕生日に書いてくれたらしい。これ、俺の友達…もちろん嫁も見れるんよな。それ知って書いたのか?


わざと、か?


「ほらあれやん、神戸のときの藤原ちゃん。あの脳みそないJK」


入社当時、花梨菜はあんなに怒ったのに同じ間違いを二度したことがあって、こいつは脳みそないんかよ、と嫁に愚痴ったことがあった。


「ああ。あの子」


そして、


「…そんな仲良かった?タメ口で書いてるけど」



うげええぇええ。
痛いところ突いてくるなぁ。
それでも俺はポーカーフェイスを貫く。



「神戸のスタッフはみんなそんなんよ。あの主婦の崎島さんも、ヌボッとした野崎も、みんな俺にタメ口みたいなもんやったし」


「ふぅ〜ん」


「今の店もそおやん。みんな、そんなんよ」



「仲良えねんな」


「そーそー。てかこれみて、これよくない?」


俺は話をすり替えるために、
ネットショッピングで見てた服を見せた。