いつものパターンは、午後七時。実家に預けている娘を迎えに行って、帰宅。娘をお風呂にいれる。そして掃除、洗濯、洗い物…娘を寝かしつける。気づけば、午後十一時。寝る。俺の一日終了。


「ちょっとあんた」




嫁の美久が、不満そうな声をあげた。
「なに」
俺は嫁の顔を見ずに答える。



「埃残ってる」



部屋の片隅に目をやった。
あーそこ忘れてた。



「へい」



二つ返事で、雑巾絞って、拭く。



嫁は保育士で公務員。ばりばり現役で働いていて、家事などは比較的俺がやってることが多い。年収こそまだ抜かされてはないが、「あんたあたしより収入低なったらあかんで」とプレッシャーをかけられたことがある。


十八の時、連れの紹介で知り合った時はもっと可愛くて優しかったのに…今では何でも言いたい放題。けどこじらせたらややこしいし、俺はできる限りは言うことを聞いてる。なんやかんや言いながら、頭はあがらん。


まあ今は、こうして可愛い娘もできたし、俺は家族のために精一杯やってるつもりや。娘の誕生日、嫁の誕生日は力を注いでるし、また嫁も俺の誕生日には色々してくれたりする。



仲良くやってくため、平穏でいるためには、折れることは大事だ。仕事、家庭どちらでも。完璧な上司、旦那、父親でいるために。