ファミレスはさすが都会のど真ん中。
夜九時を過ぎても、客で賑わっていた。
ちょんまげヘアーのウッディは
さすがに大都会でも目立つのか、
ちらちらとこちらを見る視線を感じ取った。



あたしらカップルに見られとんかな…まあ別に地元から遠いところやし別になんでもええけど。


「そういやさぁ、」


料理を選び終わるなり、あたしはウッディに尋ねた。


「なんで、前の彼女と別れたん?」


普通ならこういう質問は、慎むべきなんやろうけどウッディにならなんでも聞ける気がした。



「ぁあ。彼女さ、東京に仕事で行くことになって」


「うん」


そういえば、前にウッディが俺も東京にいくかもみたいな話してたな。彼女を追いたかったのかな。



「年に四回しか会われへん言われて。それなら何を共有すんねん?って思って。彼女は『遠距離無理なん?』って言ってきたけど、俺は結婚願望もないし、向こうで新しい彼氏作りや。っていって。二時間電話で泣かれたけど、別れることになった」



「ふぅん……」


本当に好きなら、あたしなら遠距離でも耐えれる。年に四回しか会えなくても。でもウッディは昔も言ってたけど、結婚願望がない。あとあと考えは変わるかもしれないけど、最後は一人になりたい、と言っていた。それならば、ウッディの下した決断は仕方ないのかもしれない。



「俺は、彼女のこと今でも大好きやで」



五年続いた彼女。
プリクラも見せてもらったことがある。
五年間一緒にいた相手が、急にいなくなるのだから、それは辛かったと思うし、今でも辛いと思う。




<好きやけど、お互いのためを思って、別々の道を選んだ>


あたしは、ウッディがそう言ってるようにも聞こえて、それがあたしにも重なった。



「もしも、前の彼女がまた戻りたいといってきたらどうする?」


「今の彼女がいる限りはないかな。今の彼女大好きやし。また別の部分で前の彼女のことも好きやけど。」



「そっか…」




普通の彼氏彼女でも、別れなきゃいけないとき、断ち切らなきゃいけないときがあるんだね。