「私、もう無理、止めれん」
私、藤原花梨菜(ふじわら かりな)は、合田雅隆(あいだ まさたか)の胸元に飛び込んだ。
「ちょ、花梨菜…」
「もう大人やから、責任持てる!迷惑も掛けない!やから…」
雅隆の口元に、近づこうとしたその時だ。
「花梨菜!」
別の人の声がして、ハッと目が覚めた。
白い天井が映る。
…夢か。
ふと横を見ると、坂村信二(さかむら しんじ)のおだやかな顔が目に入った。
「花梨菜寝すぎやろ〜もう昼やで」
「えっっ?!」
その一言で飛び起き、携帯の画面をみる。
【 12:15 】
…まじか。
二度寝とはいえ、休日とはいえ、寝すぎだ。
それにせっかく、信二とお泊まりして
今日はどこかに出かけようと思ってたのに。
「あっかんわ〜寝ても寝足りんわ〜」
あたしはそういって、目をこすり、ボサボサ髪をかきあげた。
「いつまでも起きんからさ〜珍しく」
「ごめんって、もう起きてますよ〜だ」
微笑する信二を横目に、洗面所へ向かう。
きっと、夢から覚めたくなかったのかもしれない。
…実はココ最近、よくあなたの夢を見る。
連絡取ったりしてるせいもあるやろうけど、
夢の内容が妙にやらしい。
夢は自分の願望の現れっていうから、私……
彼氏の信二の家でこんな夢みるなんて。
こんなこと信二には口が裂けても言えないわ。