海里先輩が笑うものだから、なかなか断れない気がした。
傷つけたくないし、なによりせっかくの休みを私に使って下さる優しさを切り捨てれることなんてできない。

「は、はい。行きます!」

「ほんと?よかった!」

これ以上笑えないだろうと思うくらいの笑顔を見せる先輩。
こんなに完璧なのに彼女がいないなんて…

「あ、でも少し待ってください」

「?うん」

私はスクールバッグからメモ用紙とペンを持つと、翔と蒼磨にメッセージを書いた。
《翔と蒼磨へ
 海里先輩とお出かけに行ってきます。
 一緒に帰れなくてごめんね。
 練習お疲れ様!!》

「よし!」

「あの2人に?」

「はい。最近、2人とも一緒に帰ってくれるんで!」

「そうなんだ…行こっか!」

「はい」

スクールバッグを持って先輩のもとへ駆け寄ると先輩が自然にバッグを持ってくれた。

「え、いいです!」

「いいよ。気にしないで。女の子に持たせるのは俺が嫌だからね」

さすが先輩。
完璧すぎます!