キーンコーンカーンコーン…
授業が終わった。
あの後、耳の穴を開いて話を聞いた(理解できたかは別として)。

「莉音、がんばりなよ!」
「あんた、数学ばかなんだからしっかり授業聞きなって!」

いろんな人から遠まわしにバカにされながら激励を受けた。

「いいもん!√とか因数分解とか絶対大人になったら使わないんだから!」

出た。
自分で言うのもなんだが、数学苦手な人の言い訳だ。
確かに正論ではあるけれど。

さーてこれからどうしたものか。
野球部は室内で部活するってマネージャーに聞いたし、図書室にでも行くか。
と思っていると。

「莉音ちゃん、莉音ちゃん」

「あれ?里濱先輩?!」

ドアのところで私においでおいでしている先輩。
3年生でバスケ部の主将だった、里濱 海里先輩だ。
今は引退して受験勉強に専念している。