「痛っ! おまっ、何すんだよ!」
「ほら、今のうちにさあ、早く!」
俺は液の漏れている点滴台を置いて、個室に入った。そしてすぐに、祭がドアのカギをかけた。
「ふう。さあ、作戦成功だ!」
働かざる者、食うべからずとは言うが、ここまでのリスクを背負う必要はあるのだろうか。
「さあ、聡くん! 食べようー!」
便座の蓋を下ろして、その上に買ってきたものを並べた。純粋に汚い。
「あっ……。」
ここで俺はあることに気付く。
「どうしたの?」
「いや、割り箸、一つしか入ってない。」
「なーんだ、そんなことか。聡くん、キスしたことある?」
と、唐突に何を訊くんだろうか、この人は。
「あるけど……。」
「それならいいよね?」
まさか……祭は、この割り箸を二人で共有しようと、そう言っているのか?