「いやいや、さすがにまずいだろ! 絶食中だぞ?」
「あ、出た! 正論!」
こ、こいつ……。
「正気なのか?」
「正気だよー?」
「俺、もしかしたら死ぬかもしれないぞ?」
「あっはっはー。大袈裟だな、聡くんは。食べなきゃ死んじゃうならまだしも、食べて死ぬって、素人が捌いたマフグを食べるわけじゃあるまいし。」
わかりやすい例えだが、俺はとことん抗議した。
「やばいって! まずいって!」
「まずくないよー? 美味しいよー?」
「美味しい」この言葉を聞くだけで、空腹感はどんどん増していく。
「それとも、何? 食べちゃいけないって言われてるからって食べない聡くんは、ヘタレなの? ヘタレな聡くんで……。」
「……心外だな。」