「あー、もちろん。変なこととかはダメだよ?」



言われなくてもわかっている。



しかし、なんだろう。今の俺が一番やりたいこと。欲求とは。



一番は、病室でゆっくりすることだろうか。ゆっくり本でも読んで、眠くなったら寝る。病人のごく普通の過ごし方だが、走ることに比べたらずっといい。



____いや、あった。一つだけ。やりたいことが。



「食事……かな。」



「食事ー?」祭は目を丸くした。



「食事って、え? 何? お腹減ってるの?」



「まあな。絶食中だから。」



「ゼッショクチュー? それってどんなチューなの?」



物分かりの悪い奴だと思った。何ならここでチューして祭の唇を奪ってやってもいいのだが、さすがにそれは「やっちゃいけないこと」だ。



「断食って言えばわかるか?」



「ああ、断食。つまり、ご飯を食べちゃいけないってこと?」



「そういうこと。」俺は天を仰ぎながら言った。



「でも、食事止められてるのに、食べたらさすがに医者に怒られるだろうな。」



その言葉に祭が目を輝かせ____まずい。



「聡くん、やっちゃいけないこと。決定だね!」



……やっぱり。