病室へ帰ると、心配そうな母さんがおろおろと動き回っていて、落ち着きがない。
「聡ちゃん、大丈夫なの? まだ痛い? 今、看護婦さん呼んだからね?」
余計なことをしやがって。
「大丈夫だよ。ちょっと痛いだけ。」
「本当に? でも、聡ちゃんは我慢強いから……。」
そんなことを心配しているんじゃない。
確かに、お腹は痛いが、これぐらいなら我慢はできる。
問題は、看護婦なのだ。
昨日、祭と走り回ったことで、物凄く怒られた。
看護師長という役職のなかなかの年配の方で、しわというしわがおしくらまんじゅうをしていて、ある意味怖かった。
そんなことが昨日あったばかりだ。母さんのいるこのタイミングで、「お腹が痛い。」なんて言えば、どうなるかわかったもんじゃない。