病棟内に入り、俺はやっと祭に追いつくことができたが、そこからはついていくのに必死だった。
「はあ……はあ……なあ、速くないか?」
「そーだよ。私、中学ん時、陸上部だもん。デレク・ジーター選手に憧れてね。」
デレク・ジーターって、確かメジャーリーガーじゃなかっただろうか。
そんなことを考えている間に、一階のナースステーションまでやってきていた。
ナースステーション。俗に言う詰所は、看護婦たちが控えている場所だ。
「こらー! あなたたち、何走ってるの!」
とまあ、こうなるわけで、看護婦たちが2、3人が追いかけてきた。
「ひゃー、こりゃスピードアップっきゃない!」
そう楽しそうにはしゃぎながら祭はスピードアップする。
わかっていたことだが、とんでもないことになってしまった。