「よーし、それじゃ行きますか!」 そう言って、祭はクラウチングスタートの構えに入ったが……。 「あれ? 聡くん。どうしたの?」 「あ、いや、これ。」 俺は点滴台を指さした。そう。これがあるのだ。これを持って走るのはさすがに無理がある。 「あー、確かにこれじゃ走りにくいよね……うーん、よし!」 そう言って、祭は点滴台に近づき、そして……。 「ていや!」 点滴の針を引っこ抜いてしまった。