____そう思っていたのだが、どうやら違ったらしい。



私服に着替えて、中庭で祭と落ち合い、問題の受付前までやってきたのだが……。



「超ラッキー! 看守いないじゃん!」



そんなわけで、普通に素通りして、何とも簡単に病院を抜け出せてバス停までたどり着くことができたのだ。



「いやいや! セキュリティー緩すぎだろ!」



「どうしたの? 聡くん。急に大声出すからびっくりするじゃん!」



「いやいやいや! びっくりするのはセキュリティーの緩さの方だから! あんなセキュリティーの中、俺たちは入院してんだぞ!?」



「だから?」



「だーかーらー! 不審者でも入ってきたらどうすんだよ!? 拳銃持った人とかは言って来たらどうすんだよ!? 撃たれちゃうよ!? 血液ブッシャー!! ってなっちゃうよ!? 死神のお迎え待つよりも先にゴー・トゥー・ヘブンだよ!」



「聡くん、入院患者ジョークハマったの? まあ、入院患者の特権みたいなものだけどさー、私たちよりも重い症状の患者からしたら笑えないよねー。」



珍しく祭から正論を言われ、俺は黙った。その時、バスが来た。