——ヒュンッ!
さっきの熊の置物がお婆ちゃんめがけて飛んでくる。
「……!」
あたしがとっさにバリアーを張ると、弾かれ、置物はゴトン! と床に転がった。
「なんとっ!」
お婆ちゃんが驚いている。
……あ。
ついバリアーを使ってしまったけど……どうしよう。
"……ブーン……"
そうこうしているうちに、バリアーの球体がみるみる白っぽくなってきた。
……あれ。
これは強度の弱い半透明のバリアーだ。
それがふるふる震え、
——パチン!
シャボン玉のように消えてしまう。
何故か右手のしるしも同時に消えた。
……え。 また、不安定?
ボディ接着バリアーなしだと、あたしは、防御はもちろん打撃も、使える時と比べたらだいぶその力は弱くなる。
「 うぶぶぶ!」
突然のバリアー出現に、男はパニック状態だ。
ところが、あたしを敵だと認識したのか、
——ガタンッ!
「……あがあっ!!」
めちゃくちゃに腕を振り回しては、白目を向いてあたしに飛びかかってきた。
「 娘さんっ!」
お婆ちゃんが叫ぶ中、あたしは男の腕を取る。
——ボスッ!
身をかがめて、腹にヒジを打ち込んだ。
「……ぐびっ!」
つぶれるように倒れる男……
「…………」
バリアーがなくても、トレーニングのおかげで、あたしは十分闘える。
ましてこんな男の2、3人ぐらい……