それから、お婆ちゃんは麦茶やらフルーツやら、梅干しののったお粥やら、いろいろ用意してくれて……

汗をかいたからとお風呂まで沸かしてくれた。


「 お婆ちゃん、いろいろありがとう 」


食べて、お風呂に入ってさっぱりしたら、あたしはすっかり元気になった。


「 いいんだよお。ほら、こっちに座らい 」


お婆ちゃんの隣に座る。

風がよく通る、見晴らしのいい縁側だ。

視界に映る色鮮やかなアジサイたち。

空は今日も晴れていた。



「 湧人にこんなべっぴんのお友達がいっとは、婆ちゃん知らねがったなぁ 」


うちわで仰ぎながらお婆ちゃんが言う。


……とも、だち?


そうか、あたし湧人と友達、なんだ?


「 あ~。湧人とは、ハンカチの、木の前で。あの屋敷の 」


すると、お婆ちゃんはきょとんとして、


「 ああ~、そうだったのお〜 」


納得したようにうなづいた。


「 湧人、最近よぐあそこさ通ってるみでえだがら婆ちゃん不思議だったんだけっども……そうがあ、湧人は娘さんと会ってたんだがあ?」


にんまりと、お婆ちゃんは微笑んだ。


……?

とりあえず麦茶を一口飲む。

すると、


「 娘さんさえ良がったら、ここさ居てもいいんだよお?」


何故かお婆ちゃんが沈んだ声でそう言った。


「……え?」


「 なにか事情があんでしょお?」


お婆ちゃんがそっとあたしの口元に触れる。


「 湧人も、おんなじだったがら…… 」


「……? どういうこと?」


「……湧人はのう、 」


お婆ちゃんは静かに語った……