潮の匂いがする。
海には何回かフルールやメイドときた事がある、楽しかった、少ししょっぱくて冷たい水に足を付けると気持ちがいい感覚、楽しかったあの頃を。
「おーあれが俺の船だ、もう船員達も戻って来てるだろー」
帆は終われているが、大きくて立派な船だ。
誘導されるままに陸と船を渡す橋を渡ろうとすると。
「ほぃ、お嬢さん、御手をどうぞ」
緑の髪の眼鏡をかけた少年がノワールに手を差し出してくれた。
足元が悪いからだろうか、と思いフルールはその手を取った。
「ありがとう」
「いえいえ、僕はこの船の修理番を任されてるトトだよ」
「すごいのね、こんな大きな船を直せるなんて」
「そりゃぁ、海賊船だもん1人で直せる技術ぐらいもってなきゃ、やってけないよ」
ニコニコとノワールの手を引いてくれる少年。
「え?」
「え?って?」