古の闘技場(だと私が思っていた所)から長い長い階段を下り、更に深き闇の中へ。
姉さんとはほとんど喋ってない。姉さんは元々口数は多くない方だけれど……きっと親友との戦いがあったからだ。
クローソーさん。消えたフィーを探す旅の途中で出会った不思議な魔女。ん?魔女って不思議な存在か。でも、魔女なのに明るくてお喋りで面白くて、いつの間にか心を許していた……やっぱり不思議な人だ。
一度、クローソーさんと姉さんが二人で出掛けていったことがあったけど、それから姉さんとクローソーさんは凄く打ち解けた感じで。でも、その夜、クローソーさんは私の大切な短剣を持って消えてしまったんだ。
姉さんはそんなクローソーさんと二人きりで勝負を付けることを望んだ。ここが危険な島だってことを考えると、一人にするなんて有り得ないんだ。でも、今までに姉さんが自分のことを言い出したことなんてなかったからさ。それに……なんだかクローソーさんも姉さんと同じ気持ちだったんだと思う。今更だけどね。
なんかさ、今まで私のためだけに生きてくれてた姉さんが、自分の意思で生きる道を決めてるのって──本当は当たり前のことなんだけど、やっぱり嬉しい。でも……ちょっと寂しいかな。乙女の心中って複雑だね。
「マチルダ様、あれを。」
「次の扉かぁ。なんだか嫌な感じバンバンだなぁ。」
私たちの目の前には重そうな金属の扉。この島でもう何度目の光景だろうか。
「扉の向こうには黒い瘴気が渦巻いているのを感じます。改めて気を引き締め直しましょう。」
「勿論。
……だけど、フィーって本当にこの先にいるのかなぁ。やっぱりかりんちゃんを連れてきた方が良かったんじゃ?」
「庇いながらの戦いは、私自身が滅びの道を歩むことに繋がります。私が倒れれば、かりんだけでなく、マチルダ様を守る者もいなくなりますから。
……強くなられたとはいえ、かりんは私の大切な友人のご息女。危険な目に遭わせたくないのです。」
こういうところは姉さんは徹底している。私みたいに悩んで、挙げ句、決められないなんてことはない。
「それに、マチルダ様もサロモとの一件でお感じになったと思います。
運命というのは、縁があれば必ず交わるもの。フィーを攫ったあの道化とは決して切れぬ縁を感じます。私たちが進む道で奴とは必ず見えることができましょう。」
そうだね。その通りだと思う。とりあえず、あのピエロは一回ぶっ飛ばしてやらないと気が済まないし、そうしたらフィーも帰ってくる気がする。そんなことを考えながら、重く冷たい扉に手を掛けた。
姉さんとはほとんど喋ってない。姉さんは元々口数は多くない方だけれど……きっと親友との戦いがあったからだ。
クローソーさん。消えたフィーを探す旅の途中で出会った不思議な魔女。ん?魔女って不思議な存在か。でも、魔女なのに明るくてお喋りで面白くて、いつの間にか心を許していた……やっぱり不思議な人だ。
一度、クローソーさんと姉さんが二人で出掛けていったことがあったけど、それから姉さんとクローソーさんは凄く打ち解けた感じで。でも、その夜、クローソーさんは私の大切な短剣を持って消えてしまったんだ。
姉さんはそんなクローソーさんと二人きりで勝負を付けることを望んだ。ここが危険な島だってことを考えると、一人にするなんて有り得ないんだ。でも、今までに姉さんが自分のことを言い出したことなんてなかったからさ。それに……なんだかクローソーさんも姉さんと同じ気持ちだったんだと思う。今更だけどね。
なんかさ、今まで私のためだけに生きてくれてた姉さんが、自分の意思で生きる道を決めてるのって──本当は当たり前のことなんだけど、やっぱり嬉しい。でも……ちょっと寂しいかな。乙女の心中って複雑だね。
「マチルダ様、あれを。」
「次の扉かぁ。なんだか嫌な感じバンバンだなぁ。」
私たちの目の前には重そうな金属の扉。この島でもう何度目の光景だろうか。
「扉の向こうには黒い瘴気が渦巻いているのを感じます。改めて気を引き締め直しましょう。」
「勿論。
……だけど、フィーって本当にこの先にいるのかなぁ。やっぱりかりんちゃんを連れてきた方が良かったんじゃ?」
「庇いながらの戦いは、私自身が滅びの道を歩むことに繋がります。私が倒れれば、かりんだけでなく、マチルダ様を守る者もいなくなりますから。
……強くなられたとはいえ、かりんは私の大切な友人のご息女。危険な目に遭わせたくないのです。」
こういうところは姉さんは徹底している。私みたいに悩んで、挙げ句、決められないなんてことはない。
「それに、マチルダ様もサロモとの一件でお感じになったと思います。
運命というのは、縁があれば必ず交わるもの。フィーを攫ったあの道化とは決して切れぬ縁を感じます。私たちが進む道で奴とは必ず見えることができましょう。」
そうだね。その通りだと思う。とりあえず、あのピエロは一回ぶっ飛ばしてやらないと気が済まないし、そうしたらフィーも帰ってくる気がする。そんなことを考えながら、重く冷たい扉に手を掛けた。