その覚えたっての、一体、何歳の時?
遠足の時の手際の良さからして、結構、前だよな?
弁当の料理だって、実のところ、うまそうだ。
けど、母親がいないと聞くと、離婚なのか亡くなってるのかとか、それがいつだったのかとか、そんなところに繋がりそうで、聞くに聞けなかった。
「だから、大して腕は良くないよ。ハンバーグとかカレーライスとか、後、肉炒めたりとか、それくらいかな」
「いやいや、そんなことないでしょ~。だって、豚汁、作ってたじゃん」
志穂の言葉に、思わず突っ込む。
「豚汁くらい、作れるだろ。出汁いらないし」
「え~。花婿修行中の叶太くんには、聞いてないし~。婿は、フランス料理でも中華料理でも頑張って覚えてきな」
志穂はぶすっと言うと、オレの弁当箱に入ったアスパラの豚肉巻きに箸を突き刺した。
「お前、それはさすがに行儀悪いぞ」
「いただきま~す」
オレの言葉を無視して、アスパラを口に入れる志穂。