食後、ハルが昼寝のためにベッドに入ると、ハルの頬や髪を撫でたりして、ハルの感触を楽しみつつ、

ハルが眠るのを、少しだけ心待ちにした。

そんな自分を後ろめたく感じつつも、ハルが寝息を立てはじめて5分後、そっとハルの部屋を出た。



「ねえ、沙代さん、ハルって、塩分制限ないよね?」

「ええ。ありません」



キッチンで夕飯の下ごしらえ中の沙代さんを捕まえ、質問タイム。



「だよね」



オレが知らない間に、そんなのが始まってたら、正直かなりショックだ。



「でも、今はありませんが、いつ来るか分からないので、家ではずっと薄味にしてます」

「……あ」



確かに、進行性ではないけど、基本、良くなるよりかは徐々に悪くなっていく病気だから……。

ハルの持病は、悪化すれば、塩分制限はいつ来てもおかしくない心臓病。



「叶太さんの分は、お嬢さまより、少し濃いめの味付けにしてます。運動をされる方は、よく汗をかかれますし、薄味過ぎても身体に良くないので」

「え!? わざわざ!?」

「奥さまと旦那さまの分も叶太さんと同じように、濃いめの味で出してますよ」

「ハルの分だけ薄味にしてるの?」

「ええ」



当然ですとも、とでも言わんばかりの沙代さん。



「そっか」

「でも、一体、どうしたんですか?」



沙代さんは不思議そうに聞く。