「ハール、雑炊、作ってきたよ」



結婚式の翌朝。

前日のコップ一杯のワインのせいか、結婚式で疲れたせいか、今ひとつ調子の良くないハルは、起きられずにベッドの住人だった。

オレが作ったのは、鶏のササミと梅干し入りのサッパリした雑炊。

あっさりした昆布出汁。
浅葱の緑で、色合いも美しく仕上がっている。



「……ん。ありがとう」



少しなら食べられそうって言うから、用意したけど、どうだろう?

大きめの土鍋から取り分けて、オレも同じ物を食べる予定。



「少なめにつけるから、食べられそうだったら、おかわりしてね」

「ん」



お椀に、ハルの分をよそって渡す……前に、手を止めた。

オレからお椀を受け取ろうとしていたハルが、不思議そうに小首を傾げた。



「ねえ、ハル、食べさせてあげようか?」



お椀を手元に戻して、木製のスプーンで雑炊をすくう。



「え? いいよ。自分で食べるよ」



ハルは予想通り、遠慮する。



けど、一回、やってみたかったんだ。

ふうっと、スプーンの上の雑炊に息を吹きかけ、冷ます。