息も、ロクに出来ない。

過呼吸だ。

苦しくて、瞳に涙が浮かぶ。

ボヤけた視界で、あたしに駆け寄ってきていたヒデに縋る。


「あおい」


心配そうに、あたしの名を呼ぶヒデ。


「ふ、くろ」


あたしはヒデに、袋を要求する。

ヒデは慌てたように、周りを確認し、あたしが要求したものを持ってくる。

あたしはヒデから袋を受け取り、鼻と口を覆い、ゆっくりと呼吸する。

数分して、何とか自力で呼吸できるようになる。

でも、その頃にはぐったりと疲れていた。


「大丈夫か」


ヒデの問いに、あたしは小さく頷いた。

帰ろう。

帰って、少し横になりたい。

力が入らない足にグッと力を立ち上がり、ふらつく足取りでドアへと向かう。