「雪子さん…彼がいるんだね」

「あぁ…」

「春也…?もしかして泣いてる?」

彼は確かに泣いていた…
サラサラの前髪で涙を隠しながら…

家に帰ってから彼はわたしを抱きしめた。

「…」

「…誰のこと考えてるの?」

「…」

彼は何も答えなかった。多分彼は雪子さんを想っていて…
わたしのことなんか考えてないそう思った。

サラサラな黒髪はやがて紅葉色へと変化した。
思ったよりもサラサラですこし驚いた。

「…雪子さんの好きなタイプが髪の毛染めてる人なんでしょ?」

「…あぁ。…ごめん」

「何謝ってるの!
 いつか春也が振り向いてくれるとわたしは信じてるから大丈夫!」

本当は大丈夫なんかじゃなかった。
心の奥底で、雪子さんを…憎んでいた自分がいた。