彼はずっと…ずっと…わたしをだましていたの?

「…どうしたの?美沙ちゃん?」

「あ…えっと…」

何でわたしの名前を…春也話したのかな…

「それよりどうした?こんな遅くに…何かあったのか?」

優しい…女の人に優しくしてる…
わたしにはたまにしか優しくしないのに…

「ううん!ただね、春雪がどうしても春也に逢いたいって言うから…」

「そうか…」

わたしはいない…わたしには…もう…頼れる人がいない…

「美沙…部屋に入っとけ…」

「…」

わたしは部屋に入るしかなかった。

わたしは部屋でどうしてればいい?

彼の妻を恨んでいればいい?

淋しく独りで泣いてればいい?

何も考えずに寝てればいい?