スキな人は、いつもそばにいる。


「ねむー。だるー。」

あたしの隣で駄々をこねているのはあたしの親友の来栖 美亜。サバサバしていて華奢でかわいいというより綺麗が似合うそんな女の子。


そんな親友のおそらく親友であろうあたしは菊池 心。あたしもサバサバしてる方だと思う。体重も普通だし、普通の高校3年生である。

そんなあたしたちは、いままさに3年生の1学期早々の始業式に出ている。

「担任誰かなあ?また、ぐっちーかな?」

ぐっちーとゆーのは1、2年生のとき担任だった野口先生。割といい先生だと思うしあたしはどちらかというとスキの部類に入る。


「じゃない?まあ、あたしぐっちー嫌いじゃないし」

「まあね〜でも、やっぱりこう新鮮なものほしくない?」

「なにそれ」

「潤いだようるおい!」

「美亜、モテるじゃんいいじゃんよ」

「あのね、同い年の男ってガキなのよねえだから年上がいいじゃんよ〜」

あたしもね、そりゃイケメンが来ればいいなとか思うよ?でも現実問題そんなものがたり無理なわけで。
所詮、あたしたちはぐっちーなのだと思う。


校長先生が、新任の先生を紹介していた。

その中でひときわ1番女子たちが騒いだ人物がいた。

「坂口 健吾です。東宮大学卒業してこの学校で教師をすることになりました。年は23で科目は英語です。よろしくお願いします。」

そのひときわ女子たちが騒いだ人物は、23という若さでありながら、ものすごくかっこよかった。
黒髪にゆるくかかったパーマ。
スーツが似合っていて、スタイル抜群。細くて、色白。小顔で、二重のたれ目でえくぼが出ている。

まさにイケメンというイケメン。
女子たちが騒ぐのもわかる。


「えーっと、坂口先生には3-Aの担任をしていただきます。」

「うわ、まじ?やばくね?心〜グッバイぐっちー!」

美亜が後ろで騒いでる。

ぐっちーはBのクラスになった。

「イケメンさんだね。」

「いやあ、あれはやばいべ。モデルさんでしょ。」

「いやあ、俺だべ」

始業式が終わり、教室に向かう途中美亜とあたしの間に入り肩を組んできたのはこいつも親友の木宮 淳。幼稚園からの幼なじみである。

「はあ?あんたは坂口先生と比べ物にならないでしょ〜」

美亜とあっくんが言い合いをするのもいつものあたしの日常である。

席に座っておしゃべりしてると教室のドアが開いて坂口先生が入ってきた。
待ってましたといわんばかりの女子たちの目の輝き。

あたしは、菊池だから名前順がいつも前。そして3年生で初めて1番前になってしまったから初めは席も1番前。

まあ、美亜が後ろだし、あっくんも木宮だから1番前で隣だからいいんだけど。


そして教卓の前で自己紹介をしている先生を見て思った。

始業式は少し距離があったけど近くで見るとすんごいかっこいい。

この人がモテないわけがない。

「はい、今日からこのクラスの担任になりました坂口です。1年間よろしく。」

「はーい先生は彼女いるんですか〜?」

「キャハハ」

クラスの女の子たちが揃いに揃って聞く。

「どうでしょうねえ〜、先生モテないから〜」

「えー、うそ。うそ。」

「はーい、先生はどんな呼び名で呼ばれます〜?」

今度はあっくんが先生に聞く。

「そうだなあ、一応先生だからなあ」

「けんちゃんはどう??」

「いやいやお前先生だからな〜?」

「えーいいじゃんけんちゃん。」



みんなが、わいわいしてるときふと先生と目が合った。

「ん?」
満面の笑みでえくぼが出て言うから顔が赤くなるのが自分でわかった。

「いいえ」

先生に憧れを抱いた女の子はたくさんできただろう。


あたしもそのひとりだ。


そして、あたしが先生に憧れではなく、恋してしまった事件が起こった。

それは季節が春から夏に変わりそうな5月の下旬。

その日は朝からいい天気で占いも1位だった。体育は体育祭の練習。でもあたしは体調が悪くなりひとり教室の後ろの席に座ってグラウンドを見ながら暇していた。

そのとき、
ガラッ

ドアが開いた音がして後ろを向くと坂口先生がいた。


「なーにしてんだ?サボりか?」

「ちっがーうもん!体調悪いのー!」

「そうかそうか、大丈夫か?」

先生はあたしの前の席に座ってあたしの方に体を向けて話しかけてきた。

もう、ふたりだけの教室。ふたりだけの空間。春のぽかぽか陽気の体温で優しい日差しが教室に射している。それだけでドキドキだ。

「だ、大丈夫」

「うーん、熱はないみたいだなあ」

先生はあたしのおでこに手を当ててそんなこと言うから心臓が忙しくなった。


「先生?」

「ん?」

「先生って、彼女いるの?」

「いたらどうするの?」

「美人さんなんだろうなあって思う」

「いないよ、いま忙しいしね」

髪をたまに触る仕草が可愛くて。

いつもより近い距離で見る先生がかっこよすぎて。

あー。この胸の痛み知ってる。

あーあーやっちまった。



憧れ超えてスキの気持ちなんだ。






「スキ」


「スキだよ先生」


「は?」

「は?」

え、いまあたしなに言った?


「おじさんをからかうなよ〜?」

「からかってないよ」

「お前、先生なんだぞ?犯罪者にするなよ」

「えー。ほら、5つしか変わらないよあたしと先生。」

「5つもだよ。おじさんだぞ?」

「じゃあ、この気持ちだけは受け取ってよ」

「お前なあ「スキって気持ちは先生としてじゃなくて、男として受け取って」

「お願い。」


先生はさっきまでふざけて受け答えしていたのに真面目な顔になった。


「うん、わかった。ありがとな」

そういうと先生は立って教室から出て行ってしまった。

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