やっぱり、大好きだわ。

美鈴は強く思った。

拓海のそばにいて支えたい。彼の心の闇を少しでも明るく照らしたいと思った。

「もっと教えてね。あなたのこと。」

「うん、今度ね。」

やけに素直な拓海も愛しかった。

そして、お互い「おやすみ」と言って電話を切った。


いつもよりも長い電話だった。

美鈴はいつまでも切れたスマホを見つめていた。

そして、ふぅと小さく息を吐くとベッドに潜り込んだ。

一緒に食事ができる日を思いドキドキしていたら、なかなか寝付けなかったけれど。

拓海は自分のお母さんのこと、美鈴に話してくれるんだろうか。

でも、それを知って美鈴に何ができる?

幼い頃になくしてしまった拓海の母親のこと。

拓海にどうしてあげたら喜んでくれるんだろう。

美鈴にはまだわからなかった。