美鈴は嬉しくて舞い上がってしまいそうになる自分を必死に堪えながら尋ねる。

「さっき言ってたこと、告白って思っていいの?」

「さっき言ってたことって?」

「あなたはいつもはぐらかすのね。」

そう言いながらも美鈴は笑っていた。

「だから、私を好きかもしれないってこと。」

「よくわからないんだ。だから、『かもしれない』って言った。嫌いではないと思う。」

「そんな曖昧な言い方、私は嫌いだわ。」

「でも、本当によくわからない。正直な気持ちだよ。」

「嫌いじゃないから、電話してくるのね。じゃ、そういえばいいのに。」

「そうだね。訂正するよ。嫌いじゃないって。」

「訂正しなくていいわ。」

拓海と話してると、一喜一憂する。

淡々と話す拓海の気持ちがいつもわからない。

嫌われてないことは美鈴には十分わかってる。

好きかもしれない・・・自分でもよくわからないだなんて、デリカシーのない言い方。

「じゃ、あなたは私があなたのこと好きかどうかは気にならない?」

少し不満な美鈴は続けた。

「気にならないっていうか、君は僕のことが好きでしょ。」

ばっかじゃない!

顔がかーっと熱くなって、思わず叫びそうになった。

「ど、どうしてそう思うの?」

喉がからからに渇いている。

「わかるよ。君は嘘がつけない人だから。」

美鈴は自分の急所を突かれたような気がした。

確かに、そうなのよね。

そこが一番痛いところだったりする。

何も言えずだまっていると、拓海が静かに言った。

「ずっと君を観察してるからわかったんだけどね。」

「・・・観察?」

「うん。君と出会ってからずっと君を見てた。そして感じてたからわかったんだ。」

拓海のその言葉は美鈴を柔らかい毛布で包み込むような温かい言葉だった。

そして、美鈴の中心をトロトロにとかしてしまうくらいに。

人の言葉でそんな風に感じたことは初めてだった。