奏汰とはいつもこんなやりとりばかりだったけど、妙な安心感があった。

何があっても受け止めてくれるような。

「じゃ、俺一人ごめんだけど飲ましてもらうよ。」

奏汰は、そう言うと、ぐいっとビールを口に流し込んだ。

みるみるジョッキのビールがなくなっていく。

どこまでなくなるのかと、半分興味津々で美鈴はそれを眺めていた。

3分の2ほどのビールが一気になくなった。

豪快な飲みっぷりは気持ち見ていてよかった。

そういえば、拓海はお酒飲めるんだろうか。

あんな白くて細くて繊細な姿からは、奏汰のような豪快な飲みっぷりをするとは想像もできないけれど。

「田村さんは、警察官なんですよね。」

「今更それがどうした?」

既に何貫か運ばれてきたお寿司を摘みながら、奏汰は美鈴の方に目を向けた。

「やっぱりドラマみたいな感じ?事件だ!とか言って走って行って、事故や事件現場を見て回ったことあるの?」

奏汰はビールを飲みがらプッと笑った。

「お前はドラマの見過ぎ。そんなのあんまないよ。っていうか俺はまだぺーぺーだから、事故や事件があったってその場面に出くわすことはほとんどないし。」

「じゃ、何やってるの?」

「主に、町の安全パトロールだったり、人手が多い時にかり出されて補導すたり。事件だ!なんて部門も違うしな。」

「そうなんだ。つまんないね。」

「つまんないって何だよ。もしお前が何か困ったことや何か巻き込まれたりしたら一番に飛んで行って助けてやることくらいなら十分できるさ。」

一番に飛んできてくれるんだ。

「私が困ったことってどんなこと?」

「迷子になったとかさ。」

「また馬鹿にした。」

美鈴はお寿司を摘んだ。

おいしい。

回転寿司とは全く違う新鮮な魚の味が舌の上でとろけた。