拓海がどうして、そこまで女性に対して心を閉ざしてしまうのか。

どうして触れられたくないのか。

謎は深まるばかりだけど、まぁ、女性の私とこれだけしゃべってくれたってことは、さほど嫌われてはないようね。

美鈴は一人で納得して「よいしょ」と立ち上がった。

「先に洗面所で歯磨きしてくるね。」

「ああ。」

拓海は正面を向いたままコーヒーを飲んだ。


こうして、ほとんどお客がないまま、美鈴の店長代理1日目は終わっていった。

拓海と二人で過ごした時間。

妙な違和感を覚えながらも、店を閉める頃には彼と一緒に仕事をすることは居心地悪くはないなと思っていた。